一級建築士試験について:5.二次試験(製図)〜フリーハンド作図法1(作図編)〜

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フリーハンドのススメ

これまでは学科試験の独学法についてつらつら書いてきましたが、今回からは製図試験対策について書いていきます。作図編と道具編で全2回くらいになりそうな予感。

普通の対策ブログは他にも色々あると思うので、僕は「フリーハンド作図」に特化して書いてみようと思います。

最後の方に僕が練習で描いた図面も載せます。あまり他のブログなどで実際の図面を掲載している例を見かけず、僕自身受験生の頃イメージが掴めずに困ったので、参考にしてもらえたら嬉しいです。

 

■フリーハンド作図ってなに?

まず大前提としてフリーハンド作図とは何かについて。

なんて大袈裟に書きましたが、まぁ特に説明の必要もなく皆様のイメージ通りです。定規を使わずに図面描く作図法です。

そんな方法でまっすぐ線綺麗な線が引けるのか疑問ですよね。大丈夫です。全然引けません。

「え、製図の試験なのにフニャフニャの線でいいの?」と思われる方も多いとは思いますが、フニャフニャの線でも案外合格出来るのが一級建築士試験なんです。

製図試験で問われるのは「美しい図面が引けるか」ということではなく、「与えられた要件を的確にまとめた図面を引けるか」ということです。なので、ぶっちゃけ定規を使ったかどうかなんて関係ありません。そして現に問題用紙にも「フリーハンドで作図しても良い」と記載されています。

 

■フリーハンド作図で合格できます

「そうは言ってもやっぱりなんか不安…ほんとにそれで合格できるの?」と感じますよね。

僕も最初はそう感じました。でも大丈夫です。僕自身フリーハンドで合格しましたし、僕以外にもフリーハンドで合格した人はたくさんいます。

ただ、そのためにはいくつかのポイントがあると感じたので、その辺りのことをこの記事ではまとめていきます。

 

■何故フリーハンドを選んだのか

フリーハンドを選ぶ人は初受験者が多いと言われています。作図練習時間が足りず、なんとかスピードアップを図りたいというのがよく聞く理由です。

中には本試験中にどうしても時間が足りなくて止むを得ずフリーハンドに切り替えるという人もいます。

なので、フリーハンドというと一般的には苦渋の決断のような印象が強いのかなと思います。

しかし、僕は積極的にフリーハンドを選ぶのも全然アリだと考えています。

フリーハンドにはスピードだけではなく他にもメリットが色々あるからです。

 

■フリーハンドのメリット

フリーハンドのメリットについてですが、大きく分けて以下の3つにまとめられると思います。

①作図スピードが上がる

②作図手順を気にしなくてもいい

③「味」で色々ごまかせる

まず①については言わずもがなですね。現代っ子はCADが当たり前で平行定規による作図なんて全く慣れていません。なので初受験生はまず平行定規に慣れるのにけっこう時間がかかります。

道具に慣れるのに時間を割きすぎて肝心のエスキス練習などに時間を割けない…これでは本末転倒です。

その点、フリーハンドであれば平行定規を使う必要はありません。問題用紙にはグリッドが予め引いてあるので、それを頼りにすればある程度真っ直ぐな線も引けます。

定規だと作図に4時間かかる人がフリーハンドにしたら3時間で描けるようになったという話もざらに聞きます。

作図時間が短縮出来るということは、その分更に情報の多い濃い図面を描くことが出来るということにもなります。図面で表現しきれないことを文章で書き足したり、少し植栽などを丁寧に描いてみたり…冒頭で綺麗な図面を描く必要はないと言いましたが、見栄えする図面が悪いわけありません。

エスキスだって落ち着いて出来るし、見直しの時間だってゆっくり取れます。作図時間が縮められるということは様々なメリットを産むと思います。

そして②について。これは好みが分かれるかもしれませんが、平行定規による作図と違って作図手順が比較的自由だと思います。

平行定規は基本的には隣り合う図面を同時に描いていきます。フロアごとに描くよりその方が定規を動かす回数が減らせて効率的だからです。しかし、僕はどうにもこの方法だと書き忘れが生じそうで性に合いませんでした。

その点、フリーハンドならワンフロアごとに書いてもOKです。なんなら、2階の図面を描いている時に1階の書き忘れを思い出したら瞬時に追記できます。なんか3階描くの飽きたなーって思ったら外構を描いてもいいわけです。フリーだけあってとにかく自由!

最後に③について。味で誤魔化すというと少し聞こえが悪いですが、僕はこの「味」に結構助けられた気がしています。

僕はとても字が汚いです。判読不能と言われることもしばしば。もちろん試験の時は誠心誠意綺麗な文字を書くように努力しましたが、定規で引かれたまっすぐな線の図面の中に僕の文字があるとどこか決まりが悪いように感じていました。しかしフリーハンドで描かれた図面の中だと、まあありかな…という気が…もちろん汚いことに変わりはありませんが。

また、外構や点景などは全て定規で書いていたのでは時間が全く足りません。しかし、定規で描かれた図面の中にフリーハンドの点景が描かれると、あからさまに「時間が足りなかったんだな」感が出ます。完璧なものの中に少しでも異分子が紛れ込むと台無しになってしまうわけです。でもフリーハンドなら最初から最後まで線はふにゃふにゃなので気になりません笑

 

■フリーハンドのデメリット

ここまでフリーハンドのいいところばかり書いてきましたが、もちろん悪い部分もあります。

第一に、教えられる人がほとんどいません。予備校にもフリーハンドを教えられる先生はほとんどいないと思います。熟練の主任講師的なポジションの人ならフリーハンドの学生をみた経験もあると思うので、もしフリーハンドに挑戦する場合は、そういった人たちに一度見てもらうと良いかもしれません。

そして一番の問題は書く人の性質が如実に出るという部分だと思います。定規でそれなりに描けていた人が、フリーハンドになった途端、どうしようもない図面を描いてしまった…など、やはり向き不向きがあるように感じます。

 

■どれくらいの図面を描けばいいの?

だいぶもったいぶりましたが、本試験直前に僕が描いていた図面を掲載してみます。ちなみに、僕は平面図の柱と断面図は定規・テンプレートで書いてます。こんな風にハイブリッドにするのも全然ありです。

本試験でもこの図面と同じくらいか、もう少し情報量の少ない図面を描いた記憶があります。

どんな印象でしょうか?まず字が汚いところが気になりそうですね笑

でも字が汚かったとしても、フリーハンドの図面に紛れてしまうとあんまり気にならないように思えてこないでしょうか?(こない)

そして、最初に書いたように線はふにゃふにゃですよね。お世辞にも綺麗とは言えないと思います。しかしハッチングやコメントの書き込みなどはそれなりの量をしているので、なんとなく密度のある図面風に見えないでしょうか。

自分の図面に味があるとはなかなか思えませんが、もしかしたら見る人が見れば味がある図面に見えるかもしれません。この「味」という部分がフリーハンドの大きな強みだど思います。

一級建築士の採点者は経験豊富なベテラン建築士が担当していると言われています。そんな人たちに対して、自分が書いた図面は必要十分で見やすい図面だとどのようにアピールするか、そういった視点も案外重要です。

■挑戦するのはタダ!試しにやってみよう!

定規からフリーハンドに切り替える上で、コストは一切発生しません。なかなか踏み出す勇気が出ないかもしれませんが、製図対策に行き詰まりを感じた時など、一度試して見てはいかがでしょうか?

次回は使っていた道具について書いていこうと思います。

 

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