論文本試験当日の流れや心境をまとめておきたいと思います。
1,朝
当日はなんだかんだ8時間くらいの睡眠は取れてたと思います。
緊張して眠れないのでは…と心配していましたが杞憂でした。
着席は9:30なので、9時に会場到着を目指して出陣。
行きの電車の中では宮口先生の「論文最後の悪あがき道場」で配布されたレジュメに軽めに目を通してました。
2,会場到着
ちょっと早めについてしまったのでまだ教室には入れず。
外で待っていると受験仲間の姿がチラホラみえて少し安心しました。
9時ちょうどに開場されたので教室に入り着席。
ここで本日最初の事件。
机が衝撃的に狭い。
小学校の机でももうちょい広いだろというレベルの狭さです。
答案用紙を広げたら机が埋まってしまうほどで、どう考えてもペンや貸与法文集を置くスペースがありません。
去年は長机だったので何も感じませんでしたが、不満を言っても仕方ないのでペンや法文集を落とすことのないように気をつけよう…と気持ちを切り替えました。
トイレなどを済ませて、道場の特実レジュメの最終チェックをして時間をつぶします。
3,特実
9時35分頃から試験説明が始まりました。
ここで2番目の事件。
去年までなんのお咎めも無しだった問題冊子の解体が突如禁止されました。
(実は前日に特許庁のページでこの情報が公開されていたという話を聞きました。来年以降は試験前にチェックされた方が良いかもしれません。)
去年は問題冊子を解体しても良いことを知らなかったので、試験開始後に周りがビリビリし始めたことに動揺しましたが、今年はビリビリできなくなったことに動揺。
念のため試験官に確認しますがやはりNGとのこと。
(試験官の方はそもそも受験生が問題冊子を解体する習性があることさえ知らないような様子…)
試験開始後にこの規則を破ってビリビリした受験生は再ステープラーの刑に処されたという噂です。
動揺しても損だと思い、また気持ち切り替えて「はじめ!」の号令を待ちます。
号令がかかりいよいよ試験開始。
(1)特実問題I
①設問1
近年の特実は論文では見慣れない条文を聞いてくるのが定石ですが、今年も同様でした。
特許管理人についてここまで詳細に聞いてくるとは…
しかし条文ベースで回答可能な小問が大半だったのでなんとか乗り切れました。
②設問2
ここも定石通りPCT絡みの出題。
国内法との相違点がポイントになる問題で、そこさえ間違えなければオーソドックスな出題。
(2)特実問題II
①設問1
基本書と判例祭りの設問。
LECの答練でも問われていた内容なので特段苦戦せず。
②設問2(1)
ヤマと言われていたPBPクレームからの出題。どこまで書くか悩ましかったですが、時間との兼ね合いで不可能非実際的事情までは言及せず。
③設問2(2)
共有特許の差し止め請求可否を問う問題。時間がなくなりつつあったので最低限の記載で留めました。
④設問2(3)
共有の話。答案構成段階では理由付けを書くつもりでしたが、時間との兼ね合いでカット。
⑤設問3
今年の特許は今までになく3ページにわたる問題でした。そのせいで最後の設問の存在に気がつかなかったという人もけっこういた様子です。
内容は民訴の再審と主張の制限を問うもので、条文ベースで回答可能なものでした。
振り返ってみると条文と問題文の言葉で回答を構成できる設問が多かった印象です。
※本試験得点…135点
4,昼休み
あまり食欲は出ませんでしたが、食べないと午後にエネルギー切れを起こすのは目に見えているので、お昼休みはあらかじめ用意していたおにぎりを2つ詰め込みます。
感想戦は試験後と決めているので、あまり人が来なそうなエリアで悪あがき道場のレジュメを確認。
6,意匠法
(1)問題I
①設問1
昨年から出題が始まったジュネーブ改正協定の問題が出ました。
問われていることは難しくないですが、何をどこまで書くべきかの判断がつきにくい印象。
国際系の問題はまずは国際段階と国内段階しっかりを繋ぐことが重要と思うのでそれを意識して回答しました。
②設問2
補償金請求権は予備校でヤマと言われていたのでしっかり押さえました。ただ条文のみだと差がつかないと思い、加点を狙って趣旨や善意実施者の論点を書き加えました。
③設問3
侵害系の設問では早速改正事項の2条2項かっこ書が出題されました。念のため今年の短答本試験を解いておいたので反応できて良かったなと思います。
(2)問題II
①設問1
予備校では出ないと言われていた建築物の意匠についての出題でした。
保護対象となった理由、工業上利用できる意匠とは、といった趣旨問題は深入りせずキーワードを入れることを意識して短めにまとめました。
②設問2
先使用権の趣旨およびウォーキングビーム事件における「即時実施の意図」について掘り下げて聞く問題で、個人的には今年の本試験の中でもっとも難しい問題だと思いました。
ウォーキングビーム事件は準備の定義、同一性の範囲については頻出なので押さえていましたが、その知識では対応できない問題で、さすが本試験だな…という印象。
ただ、他の受験生も判例の言葉をしっかり回答はできないだろうという予想はついたので、問題文の言葉できるだけ入れて見当違いのことを書かない程度の記載で回答しました。
※本試験得点…62点
6,休憩
商標法まで40分ほど休憩時間がありますが、試験説明があるので実質的には20分程度しかありません。
さっとトイレなどを済ませ、エネルギー切れを防ぐために用意していたラムネを頬張ります。
ただ、特実、意匠を通じて大きな失敗をした感覚はなかったので、ゴールが見えて来た気がして少し気持ちの緩みが生じていました。それが商標法の失敗の原因だと思います。
7,商標法
(1)問題I
①設問1
使用許諾制度の趣旨を問う問題です。意外と過去問や予備校でも問われたことがない論点なので少し焦りました。
自由譲渡や分割分離移転の趣旨と混同させないことだけ意識して、青本の薄い記憶を頼りに乗り切りました。
②設問2
専用使用権と通常使用権の異同を問う問題でした。条文レベル記載が大半を占めるので、書き負けないようにできるだけ条文に忠実に回答しました。
(2)問題II
マドプロを絡めた本格的な事例問題でした。
日付が13個も登場する問題は過去にないのではないでしょうか…当然日付は2ページにまたがって記載されています。問題冊子の解体が禁止されているため、教室中でページをめくりまくる音が聞こえました。
最後の最後で疲れ果てている状況だったので精神的にかなりキツかったです。
しかし、時系列問題は日付さえ正確に並べてしまえば難しくないと思っていたので、最後の力を振り絞って整理しました。
時系列表ができあがって安心してしまったんでしょうね…ここで本日最大のミスを犯します。8条1項と4条1項11号の無効理由を間違えてしました…
これは本試験が終わって帰宅する途中で気づき、果てしなく落ち込みました。。
あと、あまり他の受験生が書かないであろう判例論点を記載したり、出願日認定を丁寧にやりすぎるなど商標法は正直バランスを崩していたと思います。
※本試験得点…66点
8,まとめ
本試験を通じて思ったのは、「良好なメンタルを維持しつつ安定したパフォーマンスを3科目全てで発揮することは非常に困難である」ということです。
当たり前すぎる感想ですが、これに尽きると思います。
失敗した時はこういう風にリカバリーしようとかそう言ったシミュレーションはしていましたが、まさか慢心で大きなミスを犯すとは思っていませんでした…
論文受験生は当然短答試験に合格した方々で、やる気も能力も知識も十分に兼ね備えているはずです。
それでも明暗が分かれるのは、結局のところ自分の実力を本試験で発揮できるか、ということなのだと思いました。