弁理士試験のこと⑤ 〜論文過去問の使い方〜

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なかなか大上段に構えたタイトルで恐縮ですが、論文試験の過去問をどのように学習していたかまとめてみたいと思います。

あくまでも私の体験をもとに書いているので万人に当てはまるわけではないという前提で参考程度に読んでいただけると嬉しいです。

(あと、私は2年目は短答免除だったので、論文の勉強に100%振り切っていたというところもご注意ください。短答試験が並行してると同じペースで過去問を回すのは物理的に無理だと思います。)

過去問はよく「答案構成程度で解く」と言われますが、それはかなり誤解を生じやすい表現だと思います。

私自身、最初は本試験や答練の時にやっている答案構成のイメージで過去問学習に取り組んでいましたが、途中からそれだとあまり意味がないなと思ったのでそのあたりのことについても書いてみたいと思います。

1,初級編

論文試験の勉強を始めたての頃に本試験の過去問を解くことはかなり困難です。

(ちなみに私は最初の大項目に何を書けばいいのかすら分からずフリーズしてました。)

もちろん、「答案構成で解く」と言われても意味不明状態なので下手に過去問に手を出すべきではないと思います。

そもそも何を書くべきかもわからない状況だと思うので、できれば予備校の講座を受講してそこで色々な作法を教えてもらうのが効率的です。

あとは主要なトピックについてブロック書きされているような教材で学習すると良いかなと思います。

(たとえば、「パリ優先権の発生要件と主張要件を述べよ」という問いに対して簡潔にその要件が記載されているようなイメージです。)

ちなみに模範解答をそのまま写経するという勉強法もありますが、私自身が実施してみた経験から言うと効率は悪いと思います。

なるほど、こんなに大変なのか…という実感を得ることはできましたが、写経しても論文試験の問題が解けるようになるわけではないので、まずはブロックを頭に入れて、予備校の講座をしっかりこなすのが近道です。

2,中級編

予備校の講座にもついていけていて、どんなことを答案に書けばいいかおおよそ検討がついているレベルを想定します。

恐らく、徐々に過去問にも手を出して勉強を始める段階になると思います。

私もこのくらいのレベルから過去問演習を始めました。

私の過去問の解き方のイメージとしては以下の通りです。

①まずは本試験や答練を解くときと同様にマーカー塗りや答案構成を行い、大項目や主要なキーワードをあげてみる。

②レジュメと照らし合わせて大筋が間違っていないか確認する。

③その後ブロック書きか全文書きをしてみる。(これは端折ってもいい。)

特に時間は気にせず、ふむふむと咀嚼しながら解いていました。

ポイントとしては、一回答案構成した段階でレジュメを確認してみるというところです。

間違った理解のまま全文書きやブロック書きをしても意味がないので、確認を挟んでいました。

私も同じ失敗を犯したのですが、次のステップに進む際に上記①~③のうち①~②のみ実施して過去問を回すというのはあまり効果的ではありません。

答案構成で解くと言われると本当に答案構成しかやらないイメージがあると思いますが、答案構成の後に全文書きやブロック書きをしない場合はそれだとあまりにスカスカすぎて学習になりません。

どのように解けば良いかを次のセクションでまとめます。

3,上級編

時期的にはいわゆる直前期(本試験2ヶ月前くらい)をイメージしています。

この時期になると、頻繁に全文書きをする必要もなくなってくると思います。

そこでようやく「答案構成で解く」というフェーズに入ります。

基本的には中級編と同じなのですが、「答案構成の密度を上げる」のがポイントです。

私が論文直前期勉強していた時の答案構成はこのような感じです。

非常に汚い字で恐縮ですが…誰に見せるわけでもないと思って勉強してたのでお許しください。

イメージとしては「全文書きほどではないけどまぁまぁ書く」という感じです。

・時系列の問題についてはしっかり時系列表をまとめる。

・判例問題はキーワード+肉付け程度は書く。

・趣旨問題もキーワード+肉付け程度は書く。

・各種要件は全部あげる。

これを大体1問あたり20分~30分くらいでやるイメージです。

私は、上記のようなイメージで過去問を回せるようになってからは答練や模試で大きな失敗をすることはほとんど無くなりました。

過去問を回す上で気をつけた方がいいのは「レジュメを覚えて予定調和的に解かない」ということに尽きます。

必ずちゃんと問題文を読み、なぜこの項目を挙げるのかについて根拠を持って解かないと意味がないと思います。

レジュメを覚えてしまうと「この問題ではこれを書いた後はこれを書く」というように機械的に回答を作れてしまうので、その問題にしか対応できなくなりますし、過去問と似ているけど違う問題が出題されたときに引っかかってしまうということが起こり得ます。

とはいえ自然と覚えてしまうものなので、現実的には毎回新しい気持ちで過去問に向かうことは不可能ですが、私はできるだけ意識的にレジュメは覚えないようにしていました。

4,さいごに

つらつらと書いてきましたが、いかに早く上級編に記載した過去問演習に移行できるかが肝だったと思います。

勉強の進め方は人それぞれなので一概には言えませんが「日常の学習は密度の高い答案構成で回し、答練や模試で全文書きをすることで腕が鈍らないようにする」という学習の進め方が私にとっては合っていました。

私は3月から過去問演習を始めて、そこから1ヶ月で25年分の過去問を1周するペースでこなしていたので、本試験までに過去問25年分を4周くらい回していました。

最初のうちはかなり辛いですが、慣れてくると確実に論文の実力が付いていることを実感できるので、個人的にはオススメの学習方法です。

(本試験までに延べ100年分の過去問をこなしたことになり、ここまでやって落ちるはずはないと思えるようになるのでメンタル的にも良いです。)

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