独学勉強法1:教材について
前回の記事では学科試験対策のさわりの部分を書いてみました。今回はいよいよ具体的な勉強方法について。特に教材の選び方と大枠の学習スケジュールについて書いてみます。
おススメ製図道具などはこちらにまとめてあります。製図道具について知りたい方は是非。
この記事は基本的には初年度独学で試験を突破することを念頭において書いてあります。2カ年計画や3カ年計画など人によってペースはあると思うので、そういった方々には僕のやり方はあまり合わないかもしれません。悪しからずご了承ください。
また、目標とする点数は100点以上としています。合格ラインが90点ということを考えると少々設定が高いかもしれませんが、製図の勉強を安心してするためにも、95点程度は取れると良いかなぁと思います。100点を目標にすれば本番では95点くらい取れるかな…という雰囲気で設定しています。
■結論、反復学習しかない
独学者の試験対策を一言でまとめると、資格学校のテキストと問題集を手に入れて7ヶ月間ひたすら反復学習すればオッケーということになります。
散々勿体ぶってそれかよ!という声が聞こえてきそうですね…でも、独学者が1年で試験を突破するには愚直な反復学習以外に道はありません。
もちろん試験なので傾向と対策を練ることもできると思います。ただ、初年度独学での合格を目指している人にそんな精神的余裕も時間もありません。傾向と対策を加味した効率的な学習を求めるのであれば素直に資格学校に行くべきだと思います。
とはいえ、投げやりに反復学習しろと言っているわけではもちろんなくて、「資格学校のテキストと問題集で」という部分がとても重要です。
先輩方の中には学科なんて過去問やりまくれば受かると言う人もいます。これはある意味正しいのですが、受験準備初期においては真に受けない方が良いと思います。たしかに、資格学校の問題集は全て過去問で構成されているので、内容的には変わらないようにみえます。しかし、以下の相違点が非常に重要だと思います。
①問題が分野別に整理されていること
②テキストとリンクしていること
まず①についてですが、受験準備初期はそもそも今から自分が挑もうとしている試験の全容すら掴めていません。ボウカクカク?なにそれ美味しいの?状態です。
そんな中で本番さながらの過去問集を解いても頭に入ってくるわけがありません。初めて見る建築用語だらけの呪文の様な解説文を読んで自分で体系的に整理できるのだとしたら多分1ヶ月も勉強すれば余裕で合格できるでしょう。でも世の中そんな人ばかりではないと思うので、予め体系づけて整理してくれている教材を活用するのが効率的だと思います。
そして②については、問題集だけでは問題の背景などをなかなか理解し難いため、まずはテキストで全体を俯瞰的に捉える必要があると感じたからです。
建築士試験はひたすら暗記だと言われますが、意味や仕組みが分かっていないものを暗記し続けるのは辛いし非効率です。円周率をただひたすら覚え続けるようなイメージでしょうか。それに、問題の背景知識がないとどうしても応用問題に答えることができません。
もちろん、テキストの隅から隅まで把握する必要はありません。僕も結局のところ一周しか読んでいませんし…でも問題の解説だけではよくわからない箇所があったりした時にテキストがあると非常に便利です。独学者は気軽に質問できる相手もいないので。
というわけで、問題集とリンクしたテキストは必須だと思います。
■教材ってどうやって手に入れるの?
そんな便利な教材ですが、資格学校に通っていない人でも案外簡単に手に入れられます。
まずは身近な先輩を当たってみるのがいいと思います。この記事を書いているのは今年の二次試験が終わった直後ですが、見事合格した先輩はきっとその大量の教材の処分に困っていると思います。毎年発表は12月にあるので、本格的に勉強を開始するタイミングとしてもバッチリです。おめでとうございますの気持ちを伝えがてらおねだりしてみるといいのではないでしょうか。
仮に身近にそういう先輩がいなかったとしても、オークション等を利用すれば入手可能だと思います。出品者の良心にもよりますが、少なくとも学校に通うよりは低コストで手に入れられると思います。
ちなみに僕は某TACさんのテキストを愛用してました。個人的には必要十分な内容が分かりやすく書かれているため、変に詳しすぎるテキストより使いやすいかなあと感じていました。
■教材って古くても大丈夫なの?
「でもそれだと最新の教材が手に入らないじゃないか!!(憤怒)」という方もいらっしゃるかとは思いますが、ご安心ください。教材は最新のものでなくても全く問題ありません。むしろ個人的には一年前の教材がちょうど良いのではとさえ思います。
なぜかと言いますと、ボーダーギリギリを狙うのであれば、1点2点を争うことになるので話は別ですが、最初から100点くらい取ろうと思って勉強するのであれば、前年度の試験内容が結果に与える影響はあまりないと考えられるからです。
建築士試験は何十年も続いている試験です。その間、もちろん試験形式の変更は幾度となく行われていますが、予告なしに試験で問われることが一年で大きく変わるということは考えにくいです。
たしかに大きな法改正があった年などは不安を感じるかもしれません。しかし、僕自身わりと大きな法改正があったタイミング(防耐火関係法令に特定避難時間倒壊等防止建築物という概念が追加された年)での受験でしたが、特に支障はなかったように思います。
むしろ、「前年度の本試験問題一式を前年度受験者と同じ条件で練習できる」というある意味最強の本番レベル模試を自分で受けられるというメリットさえあります。
■前年度の本試験問題を最強の模擬試験問題として活用する。
模擬試験自体は各資格学校で随時実施されています。そういった試験も新傾向問題への対策を兼ねて当然積極的に受験していく必要はあります。
しかし資格学校の主催する模擬試験は、本試験より難易度がだいぶ高いです。確かにその模擬試験で高い点数が取れればすごいことですが、本試験に対して自分が今どれくらいの立ち位置にいるかを正確に知るためには本試験問題を使うのがベストなのは至極当然です。
最新版にアップデートされた教材には前年度の試験問題も含まれていますが、一年前の教材には当然含まれていません。つまり、まっさらな状態+ノーリスクで本試験問題を受験することができるのです。
僕自身、本番数週間前に前年度の試験問題を解いてみて、自分の現状の実力にかなり自信を持つことができました。本試験前に不安を払拭し、「自分のやり方は間違っていなかった」という自信を持って試験に望むことは非常にメンタル的に良いと思います。
■市販の教材はダメなのか?
じゃあ市販の教材では合格できないのか?と言われると、決してそうとは言い切れません。僕の高校の先輩で、一切学習塾に通わず学校の教科書のみで東京大学に合格した人がいましたが、それと同じことで結局は受験者のやる気次第です。頑張れる人は何を使っても合格できると思います。
ただ、やはり資格学校の教材はよくできていると思います。僕が使用したのはTACのものでしたが、平易でわかりやすく情報は必要十分といった感じでした。某S学院、N学院など色々な学校から教材は出ていますが、とりあえず手に入るもので学習を進めれば良いのでは…と思います。
■何故7ヶ月なのか
冒頭で書いた、「7ヶ月反復学習する」というポイントについて、何故7ヶ月なのかというと、前年度の合格発表が12月なのでそもそも教材が手に入るのが7ヶ月前であるという理由はもちろんなのですが、自分自身の体験から、勉強のスケジュール的にも7ヶ月というのがちょうど良いかったかなと考えています。
僕の7ヶ月間の勉強スケジュールは次のような感じでした。
1ヶ月目:構造を一周する(問題集+テキスト)
2ヶ月目:環境を一周する(問題集+テキスト)
3ヶ月目:計画を一周する(問題集+テキスト)
4ヶ月目:法規を一周する(問題集+テキスト)
5ヶ月目:構造・環境・計画・法規をもう一周する(問題集のみ)
6ヶ月目:施工を一周する(問題集+テキスト)
7ヶ月目:過去問演習+模擬試験復習
各分野の初習はやはりなかなか時間がかかります。なので、各分野につき1ヶ月ずつ割いて、残りの2ヶ月はひたすら反復学習というイメージです。
資格学校では複数分野を同時に学習していくと思いますが、僕は一つの分野を一気に仕上げていった方がいちいち頭の切り替えをしなくて済むと考えてこのような計画で勉強しました。なので、本番直前まで施工は未学習というなかなかスリリングな状況でした。
当然、法規が終わった頃には構造のことなど忘却の彼方ですが、やはり一度通して勉強が済んでいれば2周目は早いです。最終的には全分野の問題集を4周くらいしましたが、回を重ねるごとに学習にかかる時間は短くなっていきます。環境や計画なら一日で問題集一周できるようになると思います。
そんな感じでひたすら脳みそに叩き込んでいく作業が最後の1ヶ月という感じ。この1ヶ月の頑張り次第で爆発的に点数が伸びます。それまでの半年は不安で苦しくてたまらないと思いますが、なんとか踏ん張ってください。
そしてこの「7ヶ月」という期間は頑張り続けられる限度と仕事の繁忙度のバランスをとった数字だと考えています。
いくら気合をいれて取り組むとしても、どうやったって必ずどこかで中だるみはします。僕個人としては、ぶっちゃけ一次試験の勉強はそんなに面白くなかったし、ただただ辛いだけでした。それをあまり長期間続けるのはしんどいです。
また、基本的には仕事と並行して勉強を進めますから、不測の事態も起こり得ます。唐突にコンペに参加することになったり、見積もり提出のタイミングが重なったりしたらもう最悪です。そんな状況でなかなか勉強を並行することは難しいです。そういった空白期間のバッファーも当然必要です。
そういった要素を考え合わせると、7ヶ月という準備期間が妥当なのでは…というのが僕自身の体験に基づいた結論です。
少々長くなりましたので、続きは次回に…
次回は日々の学習をどう進めていたかについて書いていく予定です。
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