弁理士試験のこと③ 〜論文式試験について〜

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論文試験についてまとめてみようと思います。

ちなみに論文試験の結果はとしては以下の通りでした。

特実…135点

意匠…62点

商標…66点

平均…65.7点

平均点が65点を超えているので、合格ラインが54点ということを考慮すると結果的にはかなり高得点で合格できたと思っています。

受かったから言えることですが、特実と意匠は本試験終了した時点で問題ないだろうとは思っていましたが、商標は無効理由のミスや答案のバランスを崩した自覚があったので正直蓋を開けるまでわからない、というのが感想でした。

しかし結果を見たら商標は66点だったので、やはり試験結果は手応えとは一致しないのだなぁと思いました。

私は弁理士試験の専門家でもないですし、講師業をしているわけでもないので自分のやり方に再現性があるとも思っていません。

ただ、もしこれから弁理士試験を受ける方の何かの参考になるのであれば、自分がどのように勉強していたかをまとめておきたいと思います。

1,受講した講座について

講座としては以下のものを受講してました。(全てLEC東京リーガルマインドの講座です。)

①Lゼミ(2022年10月~2023年5月)

私にとっての論文試験対策の基幹講座です。

大袈裟かもしれませんが、Lゼミを受講したことで去年落ちて良かったとさえ思えるようになりました。

論文のスキルアップはもちろんですが、知財業界にいない私にとって受験仲間をつくることができたのは何にも代え難いことです。

ゼミの仲間と切磋琢磨し、励ましあって勉強を続けたからこそ論文試験を突破できたのだと思います。

②論文直前答練後期(2023年6月)

Lゼミで十分に練習してましたが、ゼミ終了後から本試験まで1月ほど空くので受講しました。

あと、ゼミではそれなりに点数が取れてましたが、ゼミ以外の答練でどの程度の実力があるのかを確認する意味もありました。

問題のレベルは高く、直前期に相応しい内容だと思います。

③論文公開模試(2023年6月)

1日かけて実施する模試なので、お昼ご飯の取り方、間食の取り方、水分の取り方のシミュレーションをしてました。

内容は直前模試よりハイレベルな印象です。

④論文最後の悪あがき道場

直前ヤマ当て講座です。

直前期でも見直しがしやすい軽量なテキストに重要事項が端的にまとまっているので非常に効果的でした。

論文の基礎力をつける講座ではなく、最後の1点を取りに行く講座です。

趣旨や判例などはいわゆる「的中」と言える項目も多々あったので、本試験の結果にはかなりプラスに働いたと思います。

⑤理想と現実答案

過去問講座です。

(去年受講していたテキストを今年も活用していたので正確には今年の受講ではないですが…)

各年の論文試験過去問に対していわゆる簡潔答案である「現実答案」と模範レジュメに近い「理想答案」が掲載されています。

過去問対策としてはこの講座で十分すぎると思います。

2,勉強のスケジュールについて

今年度のスケジュールとしては以下のような感じです。

▫️2022年7月~Lゼミ開始まで

業務繁忙すぎて正直何もしてませんでした。

▫️Lゼミ開始後~12月いっぱい

60h/月くらいのペースで勉強してました。

内容としては、通勤時間に論文これ問(Lゼミで配布される論文のブロック集)を回すのと、ゼミの宿題をやっていた程度です。

▫️2023年1月~2月

80h/月くらいのペースで勉強してました。

内容としては、以下の通りです。

・通勤時間に論文これ問回す

・Lゼミの復習をやる

・去年やりきれなかった答練の問題を解く

▫️2023年3~5月まで

110h/月くらいのペースで勉強してました。

内容としては以下の通りです。

・通勤時間に論文これ問回す

・ひたすら「理想と現実答案」で答案構成する

▫️2023年5月~論文本試験まで

110h/月くらいのペースで勉強してました。

内容としては以下の通りです。

・通勤時間に論文これ問回す

・ひたすら「理想と現実答案25年分」で答案構成する

・自主ゼミで一問50分ペースで問題を解く練習をする

・論文直前答練(後期のみ)と論文公開模試を受験

・論文最後の悪あがき道場を受講

上記の通りですが、おそらくあまり特殊なことはしてないと思います。

ただ、論文これ問は14周くらい回したので、本試験直前期はほぼ全ての内容を大体覚えていたと思います。

「理想と現実答案25年分」についても4周ほど回したので、過去問についても大体内容は把握している状態だったと思います。

手広く勉強するのは苦手+反復学習はあまり苦にならない性格なので、先生に言われたことだけ粛々とやっていたイメージです。

3,論文試験のコツ

やはり論文試験は弁理士試験最大の山だと思います。

知識はもちろん、気力と体力も必要ですし、もっと普遍的な国語力も問われている感じます。

そんな試験なので、コツというほど簡単な話でもないとは思いますが、私が論文試験に取り組むときに気をつけていたことをまとめておきます。

①無理に簡潔答案を書こうとしない

最近、簡潔答案が流行っていると思います。

私も最初はそれを目指していました。

しかし、実際のところ簡潔答案はかなり高度な知識とテクニックを必要とする答案です。

答案を書く際の要点を外していれば当然点数はつきませんし、要件抜けがあれば他の受験生に書き負けます。

個人的には、愚直に問題文の言葉と条文に則した書き方をする方が安全かなと思います。

もちろん、条文を丸写しにするのは時間的にも記載量的にも破綻するのでNGですが、自信がなければ適宜条文を確認しつつ記載するなど、丁寧に書く意識が必要かなと思います。(実際、私は本試験の時はいつにも増して法文集を見てたと思います。)

たしかに、3ページ目の半分くらいの記載量で高得点を取る人もいます。それは事実です。

しかし、私にはそういう答案書く自信もセンスもなかったので、2年目からはスタイルを変えました。

記載量としては全ての科目において4ページ目に入っている感じでした。(意匠と商標は4ページ目の最後の行まで使い切る感じ。)

②答案構成をしっかりやる

論文試験はとにかく時間がありません。

特に特実の忙しさは異常です。

でも、だからこそ焦らず答案構成をしっかりやることが大事です。

特に時系列は必ず図に起こすことが肝要だと思います。

むしろ時系列は問題文の情報をちゃんと図に起こせればその時点で解けているのも同然と思います。

時間的なイメージとしては

特実…1問15~20分(計30~40分)

意匠・商標…30分

これくらいかけていいし、かけるべきだと思います。

とにかく、書いている途中で考え込んで筆が止まることにならないようにするイメージです。(とはいえ、私自信も本試験の時は焦っていたのでいつも通りの答案構成はできませんでしたが…)

③言葉を正確に使う

問題文に書いてあることや、条文の言葉を勝手に変えないことは意識していました。

例えば、「経済産業省令で定める期間」を勝手に「経省令期間」と略さないなど…そこを省力化したことで得られるものも大して無いかなと思っていたのと、一旦その心構えが崩れるとズルズルと緩い答案になってしまいそうだったので意識的にやっていました。

判例の言葉や趣旨の言葉を正確に使うことはかなり難しいですが、問題文や条文は見れば書いてあるので正確に再現するのはそこまで難しい話では無いと思います。

④わかりやすい文章を書くこと

「誰が、何を、どうする」という基本的な文章構造に忠実に書くことや、「〇〇すべきだ。それは△△だからだ。」というように理由付けをしっかり書くことを意識していました。

あと、一文が長くなりすぎないような配慮もしてました。

他人の答案を読むと感じると思いますが、活字に慣れた我々にとって手書きの文章を読むことはものすごいストレスです。

試験官のストレスをできるだけ軽減するイメージでわかりやすい文章を書くことが大切だと思います。

色々書いてみましたが、論文はテクニック的な部分ではなく、もっと根本的な文章の書き方が大切であると感じています。

4,さいごに

論文試験は本当に本当にハードな試験だと思います。

特に近年はあれだけの問題文の分量を10〜20分くらいで正確に読解する必要があるので、非常に高度な情報処理能力を求められます。

ただ、1年目の頃よりも時間をかけて深く学ぶことができたので、論文試験の勉強自体は楽しかったなぁとも思います。

そして論文試験に受かった時に初めて「あぁ、頑張って身につけた自分の知識がちゃんと認められたんだな」と思うことができました。

だからこそ、自分としては論文試験に合格した時が1番嬉しかったなぁと感じました。

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