製図道具編
長々書いてきた一級建築士試験についての記事もこれでラストです。思い立ったのは試験を受けた年の年末だったのでなんだかんだ一年くらいかかってしまいました…ラストは製図試験用の道具についてです。
■製図道具はこだわるべき
一次試験後に自己採点をして、二次試験に進めそうだという目処がたったら皆さん先ずは製図道具の調達を考えるでしょう。
最初にお伝えしたいのは、使用する道具の如何は合否に少なからず影響するということです。自分に合わない道具を使っていたり、使い方を間違えていたりすると、作図に支障が出て無駄な労力を消費することになってしまいます。
なので、八月から十月までのたった2ヶ月ちょっとしか使わないかもしれませんが、できる限り道具にはこだわりと愛情を持つべきだと思います。
■極力ムダな道具の数を減らす
とはいえ、こだわりすぎて無駄な道具を増やすのも問題です。道具を減らす、これは案外重要です。僕が受験生の頃、色々情報収集をしていると結構みんな道具の種類が多いなと感じました。例えば線の太さを描き分けるためにシャープペンシルを2種類用意するとか、色々なテンプレートを用意するとか…予備校に行くと山のような道具を抱えて砦を作っている人も見かけるかもしれません。
しかし、ただでさえテンパってる本試験中にアレコレ道具を持ち替えている余裕なんてありません。道具があり過ぎて使いたい物がすぐ出せず更にテンパる…そんなの嫌ですよね。
また、道具を持ち替える時間は単純なタイムロスでもあります。仮に、道具を持ち替える度に1秒とか2秒ロスするとしたら、試験全体で考えれば数分違ってくるかもしれません。その時間があれば室名の書き忘れに気がつくかもしれませんし、外構やコメントを書き足して見栄えのする図面にできるかもしれません。
シャープペンシルは0.7mmの2Bがあれば太い線も細い線も描けます。テンプレート付きの三角定規があれば個別のテンプレートは必要ありません。そういった視点でできる限り不要な道具を減らす、それが作図スピードアップに一役買うと思います。
しかし、単純にシンプルにすればいいというわけでもありません。僕は製図用と記述用のシャープペンシルは別のものを使っていました。最初は製図用のペンで記述も書いていましたが、記述の文章量はかなり多く、速度も要求されるため記述が終わる頃には手が疲れて製図に力が入りませんでした。
そこである時から製図には向かないけど手が疲れないシャープペン(Dr.グリップとか)を導入しました。記述と製図での切り替えなら持ち替える回数も一回なのでタイムロスにはなりませんし、記述用シャープペンを使い始めてから明らかに手の疲労が軽減し、製図速度も上がりました。
そういった感じで道具のバリエーションを増やすのは全然アリだと思います。
■オススメの道具たち
1.平行定規
フリーハンドのススメと言いつつ、なんだかんだ平行定規は必須です。前回記事でも書いたように、フリーハンドといっても全てをフリーハンドで描くわけではありません。通り芯や柱、断面図など、平行定規で書いた方が速いものもあります。また、試験会場の机が極端に狭いことも大いにあり得るので、常時同じ広さの作業スペースを確保するという意味でも平行定規は必須です。
色々種類はありますが、2万円前後の物があればクオリティ的には十分だと思います。
僕はKOKUYOの平行定規を使ってました。
コクヨ トレイザー 平行定規 マグネット製図板 A2 TR-HHEF11
2.三角定規
三角定規はテンプレート付きの大きいものと、細かい作業用の小さいものの2種類を用意していました。
オススメはVANCOの製品。僕はテンプレートを使うといっても柱を描くときの四角と植栽を描くときの丸程度だったので、これで必要十分でした。
三角定規がべたっと製図用紙についていると擦れて汚れる原因になるので、フローティングディスクでカスタマイズするのは必須だと思います。
3.三角スケール
回答用紙が5mm方眼紙でスケールが1/200だったため三角スケールは作図時にはほとんど使っていませんでしたが、全く使わないわけではなかったので30cmのものを常備してました。
新潟精機の快段目盛というシリーズが目盛りを読み易くてオススメです。
SK アルミ三角スケール 30cm 快段目盛 建築士用 TSBA-30KD
4.シャープペン・芯
シャープペンは試験時間の9割くらい握っているものなので本当に自分に合うものをこだわって探すべきです。出来れば製図用の高精度なペンを使用するのが望ましいと思います。僕はロットリングのメカニカルペンシルを愛用していました。しっかりとした線が引けるし、ペンとしてのデザインもかっこいいので使っていると、図面を描いているんだな感が出てテンションが上がります笑
ロットリング シャープペン ロットリング500N 0.7mm 1904-727 [日本正規品]
また、芯の太さについてもよく検討する必要があります。一般的には0.5mmがよく使用されますが、僕は濃く目立つ線を引くために0.7mmの芯を使用していました。硬度は2B。
0.5mmで0.7mnの線は引けませんが、0.7mmでも慣れれば細い線も弾けるため、個人的には0.7mmを一本揃えるのがベストかなと思います。
製図試験の鉄板としてhi-uniが推奨されることが多いですが、残念ながら0.7mmはラインナップされていないので、僕は普通のuniを使用してました。
また先ほども書きましたが、製図用と記述用は分けることをおすすめします。製図用のペンは文字を書くことにあまり向いていないため、大量の文章を書くと手がかなり疲れます。その点、Dr. Gripなどの筆記用ペンは優秀です。体力温存のためにも、シャープペンは二種類用意しましょう。
パイロット シャープペン ドクターグリップ フルブラック HDGFB-80R-B 0.5mm ブラック
5.蛍光マーカー
これはノック式のマーカー一択です。キャップ式だと落としたりした時に焦りまくるので避けた方が良いです。
建築業界でのフリクションの大流行から、蛍光ペンもフリクションを選ぶ人が多いですが、フリクションマーカーはキャップ式なので僕はあまりオススメしません。あと発色がイマイチ。
ぺんてるのノック式ハンディラインが最高です。もちろん消せませんが、重要だと思ってマークした所を消す人も居ないと思うので、これで事足ります。
色数も2色から3色あれば十分です。問題用紙をカラフルに色分けする試験ではないので、必要以上の色数を用意しても意味がありません。時間と体力の無駄です。
ぺんてる 蛍光ペン ノック式 ハンディラインS SXNS15-5
6.サインペン
使っている人は案外少ないのですが、個人的には必須だなと思っていました。使用する場面としてはエスキス時の通り芯。エスキスは描いちゃ消し描いちゃ消しを繰り返すと思うので、その度通り芯が消えていたらやってられません。フリクションボールで代用もできますが、消しゴムでも少し色が薄れてしまうと思うので、消えないペンで描くのが良いかと思います。
7.計算機
暗算が得意な人は不要かもですが、これがないと基本的には仕事になりません。特にエスキス時のボリュームスタディや面積計算など、計算ミスを犯したら致命的な場面も多い試験になるので、使いやすい計算機があると良いと思います。
もしかしたら計算履歴のわかる関数電卓のようなものがいいのかもしれませんが、僕はいたって普通の電卓を使っていました。こだわりとしては道具入れへの収納性を考えて小型なものを選んだくらいだと思います。
8.布手袋
これはフリーハンド族には必須だと思います。定規を使用しないため、手の側面と紙が擦れてどんどん図面が汚くなってしまう危険性が高いためです。いらない紙を敷くという手段もありますが、本番でそんな都合の良い紙が使用できるとは限らないし、図面の描きやすさなども考えると個人的には布手袋がおすすめです。
9.道具の収納ボックス
道具の整理整頓はもしかしたら一番重要かもしれません。いくら道具を厳選して使いやすいものを揃えても、どこにないがあるか瞬時に判断できなければ意味がありません。
僕はコクヨの紙製ファイルボックスを仕切りを入れたり底上げしたりして使用してました。もちろんプラスチック製のしっかりしたボックスでも構わないのですが、予備校に行くときに持ち運びやすいように、収納ボックスも仕切りも折りたたみできるようなものを選んだのがポイントです。仕切りは整理整頓する上で必須なので、自分にあった仕様で自作するのが良いと思います。ちなみに僕は昔を懐かしみながらスチボで作りました。
■色々試して自分のスタイルにあったものを探す
長々と僕の経験上使いやすかった道具を並べましたが、もちろんこれが誰にとってもベストという訳ではありません。僕自身、これがベストだったのかも分かりません。
とにかく時間が許す限りトライアンドエラーで色々試すのが良いかと思います。
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